文字の起源と霊力

【文字の起源と霊力】

 中国の儒教の創始者である孔子「文字に命があり、霊が宿っている。
 文字によって表される人間の生命は単なる符号ではなく、それぞれ
 の文字が持つ命・霊が複雑に絡み合い、その人間の運勢を操って
 いるのだ」といっています。

 一人の人間に名前が与えられるということは、その肉体に霊的な
 実態が与えられるということにほかなりません。
 人名は他と区別されるための記号ではなく、その人自身なのです。

 姓名学は、文字の基の意味(原義)を無視しては成り立ちません。
 私たちが使っている名前は人生のいろいろな出来事について運命を
 暗示する力をもっています。凶事も吉事も、偶然によるものでは
 なく文字の霊力の法則のもとに起こっているのです。

 名前の暗示力は、ときとして人の生死にもかかわることがあります。
 本人が悪い名前をもっていなくても親や配偶者など親近者が持って
 いつ凶の暗示に引きずられることもあります。

 
 ★なぜ文字に霊力が秘められているのか?

 そもそも、私たちが名前に用いている文字とは何なのでしょうか。
 その源流をさかのぼっていくと、今から3000年以上前の中国
 の殷(イン)の時代に行き当たります。当時の王の墓だった殷嘘
 から発掘された3000あまりの文字が漢字の起源とされている
 のです。

 殷の王は、明日の天気はどうか、災害(黄河の氾濫)が起きないか
 作物はよく実るか、戦争に勝てるかなど日常万般のことを神にお尋
 ねしました。そのさい、亀の甲羅や獣の骨(甲骨)を火であぶり
 それによって出来た割れ目の形で吉凶を占ったのです。

 そして占いの内容や結果などを、史(ふひと)と呼ばれる記録係が
 甲骨の余白に刻みつけました。

 それが甲骨文字(象形文字)と呼ばれるもので、文字の起源である
 漢字とは、いわば神と交信するための道具だったわけです。

 約3000種類の漢字のうち、今日までに解読されているのは
 約1500字ですが、それらはすべて占いの言葉であるので「ト辞
 (ぼくじ)ともいわれています。

 古代中国では、人は死んでも墓の中で生存と同じように生活を営む
 と信じられていました。王が亡くなると、死後の生活を守り支える
 ために家臣や身分の低い使用人などが殉死させ、これを家畜の鶏や
 犬などと一緒に埋葬したのです。

 しかし、多数の人や家畜を殺すのはあまりにも惨たらしいく不経済
 であるため、のちにこれを文字(象形文字)に置き換え亀甲や青銅器
 などに刻んで副葬するようになりました。

 時代が下がると「俑(よう)」と呼ばれる焼き物の人形などが副葬
 され、なかでも始皇帝陵で発見された兵馬俑が有名です。

 つまり文字は生き物の生き写しでもあり、神と交信する道具として
 使ったことで、そこに神の命(森羅万象の命=霊力)が宿ったわけ
 です。名前を持った人間は霊力の宿った文字に沿って育ち、生きて
 いくのです。
 ここから文字というものがいかに恐ろしい意味を持ったものであるか
 が理解できると思います。

 日本にも「お七夜」といって、子どもが生まれた七日目の夜に名前を
 決めて前途を祝うしきたりがあります。毛筆で和紙などに名前を書き
 これを神棚に吊り下げたり、赤ちゃんの枕元などに貼ったりします。

 こうした風習は、今も全国各地に残っていますが、核家族が増えた
 現在では次第に形骸化してきています。命名の時だけでなく中国では
 お正月(春節)になると門聯といって、赤い紙におめでたい言葉を
 金箔の文字で書き、商家などの門柱などに貼る習慣があります。

 日本でこれに当たるのが「お札」や「護符」といえるでしょう。
 古いしきたりを大事にしている家庭では、今もお札を神棚に飾ったり
 かまどに護符を貼ったりします。

 神社や仏閣に人名や店名入りの千社札を貼るのも古くからの習慣で
 繁盛しているお店にもシールのお札が貼ってあるのをよく見かけます。


 戦国武将の上杉謙信は、戦に臨んで「毘」の一文字を白地に黒々と
 染め抜いた軍旗を掲げていました。謙信は毘沙門天の信仰者として
 知られています。その毘沙門天は釈迦の寵愛を受け、釈迦の説法を
 もっとも多く聞いたことから多聞天と呼ばれ、中国では戦いの神と
 されています。

 その流れを汲んで日本でも軍神として祀られるようになったわけです
 が謙信が武田信玄との五度にわたる川中島の合戦の末、領地である
 信濃を堅守できたのも「毘」という文字の霊力(毘沙門天のご加護)
 があったればこそでしょう。


 子どもに良い名前をつけようとするのは、どの親にも共通する当然の
 ことです。かって我が子に「悪魔」と命名しょうとした親にしても
 「この名前によって、同級生からいじめられたとしても、それを跳ね
 返すような強い人間に育って欲しかった」と記者会見で正当性を訴え
 ていました。

 しかし、これを含めて「人気があるから」「イメージがよいから」と
 いう親の勝手な思い込みで名前をつけられた子どもは、名前に翻弄
 されて不幸な人生を歩みかねない危うさを背負うことになるのです。

 文字の意味を正しく理解して「良い名前」の命名に心がけて下さい。
 
 

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